「入れ歯に違和感があって、普段つけていられない…」そう感じて外したまま生活されている方もいらっしゃるかもしれません。しかし、歯を失ったまま放置することは、将来的に他のお口のバランスまで崩壊させてしまうリスクがあります。
当院では、歯を失ってしまった場合の治療(欠損補綴)において、インプラントだけを最良の選択肢とは考えていません。インプラントはあくまで一つのオプションであり、お口の状態、ご要望によっては、入れ歯(義歯)やブリッジを選択することが最も適切であり、最適解となる症例も数多く存在します。お一人おひとりの状態を考慮し、フラットな視点から治療法をご提案いたします。
入れ歯治療の限界と、歯を失う連鎖(欠損の進行)
1. 入れ歯治療には構造的な限界が存在します
歯科治療のなかで、入れ歯ほど「痛くて噛めない」「物が詰まる」「外れてしまう」といった不満が残りやすい治療はないかもしれません。なぜなら入れ歯とは、歯を失った「硬い顎の骨」の上にある「柔らかい歯肉(粘膜)」を挟み、その上に入れ歯をのせて横からの力や噛む力を支えるという、構造的に非常にデリケートな治療だからです。
そのため、どのレベルまで不自由なく噛めるようになるかは、一人ひとりのお口の状態(残っている歯の数や位置、顎の骨の厚さ、かみ合わせ、噛む力、唾液の量、粘膜の厚さなど)と、ご自身の適応力に大きく影響されます。
2. 保険の部分入れ歯が持つ剛性の不足と、鉤歯(維持歯)の予後
欠損歯列の診断において高名な先生は、「歯の欠損は、進行性の慢性疾患である」と定義されています。これは健康な歯に負担をかける部分入れ歯の特性上、完全には避けられません。
特に保険診療の部分入れ歯は、プラスチック(レジン樹脂)の床で作られます。入れ歯の素材に剛性(強さ)がないと、噛んだ力により入れ歯がたわみ、歯茎に強い痛みを引き起こします。さらに、噛むたびにたわむことで、バネがかかっている健康な歯(鉤歯:こうし)が揺さぶられ、最終的には抜けてしまいます。また、鉤歯は健康な歯と比べると、むし歯や歯が割れる(破折)リスクが3倍、抜歯に至るリスクが5.5倍にも跳ね上がると報告されています。
自由診療(自費診療)の入れ歯という選択肢
当院が入れ歯治療において自由診療という選択肢をご用意している最大の理由は、保険診療のルール(限られた時間や工程の制限)に縛られることなく、「一口腔単位の厳格な診査・診断」を行い、お一人おひとりに合わせた丁寧な工程と治療を、時間を惜しまず行うことができるからです。
- 保険の制約にとらわれない、お一人おひとりに合わせた設計: 保険診療では、使用できる素材や設計のルールに厳格な制限があり、個々の細かなお口の環境変化に合わせた柔軟な設計が難しいのが現状です。自由診療では、治療の進め方から材料の選択、個々の顎堤(アゴの堤)に応じた力学的な設計にいたるまで柔軟に対応できるため、保険義歯に比べ、しっかり噛める快適さを目指すことが可能になります。
- 事前の診査・診断だから叶う、あなた専用の入れ歯: お口の中の状態やかみ合わせ、日々のライフスタイル、ご要望までを事前にお伺いし、一口腔単位の総合診断に基づいて設計・製作を行います。構造的な剛性(たわまない強さ)に優れた素材や設計を活用することで、「しっかり噛めない」といったお悩みの原因に対して適切なアプローチを行います。
- 丁寧な治療ステップ: 自由診療だからこそ、診療にかかる時間、完成にいたるまでの工程を十分に取り治療が可能です。精密な型取りからすべての工程を丁寧にすすめ、各ステップに十分な時間を費やすことで、安定して機能する状態を目指します。
- 専門性の高い技工士と共に仕上げる連携体制: 入れ歯の仕上がりを大きく左右する鍵は、歯科医師の診断力と、それを形にする歯科技工士の技術の調和にあります。当院では、義歯製作において高い専門性と経験を持つ信頼できる技工士と提携しています。治療計画の段階から完成まで、ドクターと技工士が密にコミュニケーションを取りながら共同で作り上げます。
自由診療の入れ歯の種類とそれぞれの特徴
1. 総義歯(すべての歯を失った方)
すべての歯を失った方にとって、総義歯は暮らしの質を取り戻す大切な選択肢です。かみ合わせやお口のまわりの筋肉、唇の動きに合わせて、必要に応じて仮入れ歯(治療用試作義歯)を用いながら段階的に最終的な入れ歯を設計することで、快適な装着感と高い機能性を目指します。 (※素材にはレジンや金属を使用し、見た目・強度・熱の伝わりやすさなど、ご要望やお口の状態に合わせてお選びいただけます)
メリット
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- 保険の入れ歯に比べて、しっかり噛みやすく、日々の食事を楽しみやすい。
- 顎の粘膜にズレにくく安定しやすいため、会話や笑顔の際の安心感に繋がる。
- 素材や設計を自由に選択でき、お一人おひとりのお口に合わせたオーダーメイドが可能。
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デメリット
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- 保険診療と比べると、自由診療のため費用の負担が大きくなる。
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リスク
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- 完成後もお体に馴染み、快適に使用していただくために、装着初期は複数回の微調整が必要になることがあります。治療完了までに期間がかかる場合があります。
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2. 部分床義歯(一部の歯を失った方)
歯を失ったままにせず、残った周囲の健康な歯を守るための大切な選択肢が部分床義歯です。残された歯とのバランスを評価し、しっかり噛める機能性と自然な見た目を両立できるよう設計します。
メリット
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- 隙間なくしっかり噛める環境を整えることで、食事をより楽しめる。
- ズレにくく安定感があり、会話や笑顔の際も気になりにくい。
- 設計の工夫により、金属の留め具(クラスプ)を目立ちにくくし、自然な見た目を実現できる。
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デメリット
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- 保険診療の入れ歯に比べると、自由診療のため費用負担が大きくなる。
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リスク・副作用
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- 非常に強い力や、取り外しの際の誤った扱い(無理な方向への着脱)などにより、装置が破損する可能性があります。馴染むまで何度か調整が必要になることがあります。
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3. インプラント義歯(インプラント構造を併用する入れ歯)
顎の骨に数本のインプラントを埋入し、それを土台にして入れ歯を維持装置(アタッチメントなど)でしっかり固定する治療法です。「ズレやすい」「話しにくい」といった従来の入れ歯のお悩みを大幅に緩和し、安定性を高めます。
メリット
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- インプラントを支持基盤としてしっかり固定されるため、ガタつきやズレが少なく安定して噛める。
- 入れ歯を固定するための金属のワイヤー(バネ)が不要、または最小限になることで見た目が自然になり、口元が気にならない。
- 固定式(取り外しをしないタイプ)にする場合は、毎日の取り外しの手間が減る。
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デメリット
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- 外科手術を伴う自由診療のため費用負担が大きい。顎の骨の状態によっては、事前に骨を補う追加処置が必要になることがあります。
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リスク・副作用
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- インプラント埋入の手術後に、一時的な腫れ、痛み、内出血が生じることがあります(多くは数日から1週間程度で落ち着きます)。天然歯の周りと同様に「インプラント周囲炎」のリスクがあるため、日々の丁寧なセルフケアと定期メインテナンスが不可欠となります。
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まとめ
当院の院長は、東京医科歯科大学(TMDU)等の補綴科をはじめとする医療現場において、セラミック修復、かみ合わせの分析、義歯(入れ歯)、および歯科金属アレルギー治療の各分野で臨床経験を積んでまいりました。 入れ歯は、単にお口の穴を埋める道具ではなく、これ以上の崩壊(欠損の連鎖)を食い止めるための大切な構造物です。「今の入れ歯がどうしても合わない」「残っている自分の歯を少しでも長持ちさせたい」とお悩みの方は、どうぞお気軽に当院へご相談ください。